【保護者会・PTAを変える】役員の負担・仕事を減らす3ステップ
「PTA役員の負担・仕事を減らしたい」
「保護者会の制度や活動内容を見直したい」
私も、子どもが3人いて
小学校のPTAの本部役員(会計)や
保育園の保護者会(会長)など引き受けてきました。
【PTA・保護者会マニュアル】引き継ぎ4つのコツ!役員の仕事で楽するために!
制度や活動内容の見直し(スリム化)も
積極的に関わってきた人間です。
保育園の保護者会では
「会長」を引き受けましたが
任期中に、以下のような見直しも行いました。
☑ みんなが嫌がる役職(会長・委員長など)の負担軽減
☑ めんどくさい集金を減らす(年3回→1回)
☑ 役員の負担が大きい行事(お祭り・バザーなど)の見直し
思い切った変更や改善を行った結果
PTAや保護者会などで揉めやすい「役員決め」もスムーズに決まるようになりました。
クジ引きやじゃんけんで無理矢理選ぶのではなく『話し合いのみ』で済むよう改善したのです。
ここで経験してきたことは
あなたの知りたいことに直結して
お役に立てることもあるかと思います。
そこで今日は
【保護者会・PTAを変える現実的3ステップ】
と題し、役員の仕事を減らす流れと注意点をまとめます。
【キホン】自分にできる範囲で考える
PTA・保護者会・子供会・自治会・婦人会…
役員選出がクジ引きやじゃんけんなど理不尽だったり
仕事を休んでまで強制参加を求められるなど
「時代に合わないボランティア活動を変える」にはどうしたらいいか?
まず、大前提として
自分にできる範囲で考える。
当たり前ですが
人数が多いほど規模が大きいほど
みんなの意見をまとめるのは難しいもの。
自治体や小学校のPTAなど、役員が数十人~100人にのぼるような大所帯の場合、いきなり全てを変えるのは難しい。
でも「PTAの委員会単位」ならどうでしょう?
「保育園の保護者会」も、
よほど大きな園でない限り
役員の人数は数人~10人ほどでしょう。
関わる人数が少ないほど、意見はまとめやすく、制度や仕組みも変えやすくなります。
また、制度を変えるということは
言い出しっぺである「自分の負担」も大きくなるもの。
(後述します)
そういう意味でも
いきなり大きなことをする(求める)のではなく
自分にできる範囲で考える。
ここがスタートです。
時代に合わないPTA・役員の仕事を変える、現実的3ステップ
では、具体的にどうしたらPTAを変えられるでしょう。
次の3ステップです。
1.「全体像」を知る
2.問題を解決する「手段」を絞る
3.同意・賛同を得て「制度」を変える
つづけて詳しくお話していきますね。
ステップ1:「全体像」を知る
ステップ1は
1.「全体像」を知る。
PTA・保護者会・父母会・子供会などの制度や組織を変えるには
まず「全体がどうなっているかを把握する」ことです。
年間イベント・活動内容は?
事前準備の役割・スケジュールは?
役員選出の手段は?取り決めは?
園や学校の姿勢・方針は?関係機関は?キーパーソンは?etc
たくさんの人・行事が関わる役員の仕事。
全体像がわからないと手のつけようがないですよね。
特に、大事なのは
これまでの「経緯や慣習」。
PTAはボランティア活動ゆえ、
「特定の人の価値観が反映」されていたり
みんなが疑問に思いつつも、代々そのまま引き継がれてきただけ状態のことも。
これらの「おかしいこと」がわかると
☑ みんなが嫌がる役職(会長・委員長など)の負担軽減
につなげることもできます。
全体像を知るためには
☑ 引き継ぎ資料は「捨てまくれ」!
☑ 仕事の見える化「マニュアル化」!
が役に立つことでしょう。
詳しくはこちら
「みんなが嫌がる役職」を見直す必須作業
正直に言うと、
☑ 引き継ぎ資料は「捨てまくれ」!
☑ 仕事の見える化「マニュアル化」!
これをやるだけで1年が終わります。(笑)
引き継ぎ資料の整理やマニュアル化は
今まで誰もやらなかった場合、1から始めるのは大変なこと。
言い出しっぺである
自分がやらねば、誰もやりません。
それでも、会長・委員長のように
じゃんけんやクジ引きになりがちな
「みんなが嫌がる役職」を見直したいなら必須の作業です。
地味で目立たない仕事だけれど
次の人たち(未来の役員さんたち)の大きな助けになる「重要な仕事」です。
詳しくはこちらを読んでください。
大変だからこそ、
はじめにお話したとおり
自分にできる範囲で十分です。
あなたの負担にならない程度にやってみてください。
できるところまで整理して
来年度の役員さんに託すのも良いでしょう。
なお、
みんなが嫌がる役職(会長・委員長など)の負担軽減
基本的に、仕事の割り振りを見直すことは
「今年度~来年度の役員さん」の理解が得られればOKです。
規約(会則)に触れる変更がない限り
PTA総会や運営委員会などで承認を得る必要はありません。
ステップ2:問題を解決する「手段」を絞る
そして、全体像が見えてきたら
2.問題を解決する「手段」を絞る。
問題を解決するための「手段」を絞りましょう。
残念ながら、一気にすべてを変えることはできません。
でも
「なんで?これ、おかしいよね」
多くの保護者が疑問・不満に思っていることに絞ると
周りの共感を得やすく、賛同・協力者も増えます。
見直しや改革がスムーズに進みやすくなりますよ。
【例】PTAで揉める「役員が決まらなければクジ引き・じゃんけん」
「手段を絞る」とは、どういうことでしょう。
たとえば
PTAで揉める・トラブルになることに
「役員の決め方」がありますよね。
「PTAで揉める役員決め」でよくある例は
- 子供1人につき1回は、役員を引き受けること
- 役員が決まらなければ、クジ引き・じゃんけん
などなど。
PTAはあくまで任意団体。
強制参加の問題点を語ると長くなるので
ここでは割愛しますが
と考えてみるのです。
たとえば、
→活動内容や仕事の割り振りを見直す、マニュアル化する、など。
→運動会発表会などで役員優先席を作る、役員アンケートを取り「良かったところ」など生の声を公開する、など。
こういったアイディア・改善案をいくつか上げてみるんです。
もちろん上記は
あくまで一例ですが
「役員をやってもいいよ」という人が増えれば
クジ引き・じゃんけんしなくて済みますよね?
PTA不要論 ⇔ 子供のためにも必要
「PTAは不要」という人でも、
「理不尽なやり方(強制参加)が問題」と思っているだけで
PTAや保護者会の活動そのものに対しては
「子供や学校のためにも必要」と考える人も多いもの。
こういった人たちが
「積極的に立候補する」までいかずとも
と言いやすくなるようなアイディア・仕組みを考えていくんです。
【役員の仕事を減らした3つの実例】集金・予算・バザー
具体的にどんなやり方があるでしょう。
役員の仕事を減らした実例として
じっさいに実行にうつした具体例をあげますね。
私は、末っ子が年長のとき
保育園の「保護者会・会長」を引き受けたのですが
(もちろん、やりたくてやったわけじゃない)
「役員の活動で大変・嫌なのはどこか?」
「何を変えたら、役員の仕事が楽になるか?」
いくつかアイディアを出し、まわりの役員さんに相談しました。
その中で実行にうつしたのが、
次の3つでした。
☑ 集金の回数を減らす(年3回→1回)
☑ 予算の使い方チェック(保護者会費や残高の適正さ)
☑ お祭り・バザーなど「役員の負担が大きい」行事の見直し
(ステップ2:手段を絞る)
シンプルに、役員の仕事の中でも
「労力が大きい・時間がかかること」を選んでいますが、それだけじゃないんです。
あなたは気がついたでしょうか。
じつは、集金や予算、お祭りバザーなどは
すべて「PTA・保護者会の収支(お金)」に関わる内容なんですね。
役員の仕事を見直す=【お金の話】とセット
役員の活動内容を見直すとき
要(かなめ)になりやすいのは、お金のことなんです。
私は会長を引き受ける3年前に
「会計(お金の管理)」を引き受けていました。
金銭管理や予算の使い方から考えても
「役員の仕事内容は見直すべき箇所が多い」と感じていたのです。
たとえば、こういった具合です。
会費の集金回数を減らすには?(年3回→1回など)
【問題点】
保護者会費を「年3回1000円ずつ手集金」するのは大変。
【代替案】
年1回3000円まとめて払う方が、役員も保護者も楽では?
(払えない人には個別対応することもできる)
保護者会費の見直し方。繰越金が過剰な場合は?
【問題点】
規模にもよるが、PTA会費・保護者会費の「繰越金が過剰」な場合。
(例 繰越金 ÷ 園児数 ≦ 年間の保護者会費 など)
会費の見直しをする、または、園の予算では買えない備品・設備などを購入するが
「単一年度で繰越金を使い切る」のも問題がある。(在園時期によって不公平感が出てしまうため)
【改善策】
会費の収入支出バランスや繰越金の扱いなど「基準」が必要では?
予算が足りるなら、バザーなど「役員の負担の大きな仕事」を無くせるのでは?
お祭りやバザーを中止・廃止したい「役員の負担が大きい」行事の見直し
【問題点】
役員の行事の中でも1番大変だったのがお祭りのバザー。
値付けや片付け、売れ残りの処分など手間がかかる割に、たいした利益も出ない。
保育園のバザーなのに「近所の人たち」が戦利品を得ようとむらがる様子も疑問だし、
何よりお祭りの間、役員さんがお店番に忙しくて自分の子供と一緒に回れないのはおかしい。
【見直しポイント】
バザーは本当に必要?バザーを無くした方が「園児・親子中心」でお祭りを楽しめるのでは?
そもそも「収益」をお祭りに求める必要はあるのか?
「会費収入」で足りるよう収支バランスを見直せば良いのでは?
・・・といった感じで、
役員の仕事を見直す中で
「お金の問題」もからむことはセットで考える。
セットで見直すことで
まとめて解決&説得力が増すのです。
ステップ3:同意・賛同を得て「制度」を変える
【保護者会・PTAを変える現実的3ステップ】も、いよいよ最後です。
ステップ3は
3.同意・賛同を得て「制度」を変える。
ここまでお話したように
問題点&改善案をセットであげることで
「なぜ、変えたいのか?」
「どうしたら良くなるか?」
周りの役員さんに相談・提案しやすくなります。
そして、みんなで考えたアイディアの中から
現実的な手段を絞ったら「園・学校に相談する」のも大事。
現・役員さんと保育園や学校の
意見の一致(すり合わせ)が済んだら
ほぼ、成功です。
あとは「PTA・保護者会総会」で承認を得るだけ。
これで、正式に変えられます。
なお、規約・会則に触れる変更は「総会で承認を得る」必要があります。
(後述します)
重要な変更点については「引き継ぎ資料」にも経緯と変更点を記録しておきましょう。
総会で「承認・理解」を得るための例文
では、じっさいに総会ではどのように「承認・理解」を得たら良いでしょう。
☑ 集金の回数を減らす(年3回→1回)
☑ 予算の使い方チェック(保護者会費や残高の適正さ)
☑ お祭り・バザーなど「役員の負担が大きい」行事の見直し
先ほどの3つの実例をもとに
「例文と注意点」をご紹介しますね。
▼こちらも合わせて参考にどうぞ。
【例文】保護者会費の「集金の回数」を減らす
まず「集金の回数を減らす」ときの例文です。
保護者会費の集金方法についてお話します。
これまで年3回にわけて集金していましたが、今年度より
年1回、○月に一括での集金に変更とさせていただきたく思います。
年1回にまとめる理由ですが、
1つは、保護者の皆さんより「1000円ずつを年3回にわけるより、まとめて1回で払いたい」というご要望があること。
もう1つは、会計業務の負担を軽くするため、です。
集金はたくさんの現金を扱う大変な仕事ですが、保護者会費は保育園で管理しているものではなく、保護者会の役員である「会計さん」がすべてを担当します。銀行の入出金や帳簿の作成、そして集金のお金のチェックなど幅広い仕事があります。
皆さまにご協力いただき集金の回数を年1回にまとめることで、会計の負担を軽くすることができます。
以上2つの理由から、保護者会費は年1回の集金に変更とさせていただきたく思います。
特に「理由」は、役員にとっても子供や保護者にとっても双方にメリットがある点を添えることで、理解を得やすくなります。
【例文】バザーを中止・廃止する
次に「バザーを中止・廃止する」ときの例文です。
お祭りのバザーについてお話します。
「今年度、バザーは中止」とする方向で、役員・保育園と話を進めています。
バザーを中止する理由ですが、1つは「子ども向きではない」。
例年バザーは保護者や近所の方に好評ですが、一方で、子どもが近づけないほど大人がむらがってしまい混沌とした状態になっています。
もう1つの理由は「役員の負担が大きい」。
皆様から寄付でご提供いただいた品物を、役員みんなで移動したり、値付けしたり、またお祭り終了後は売れ残った品物を処分するなど、それなりの時間・労力がかかっています。
バザーを無くすことで収益は減りますが、先ほど、予算案の補足でご説明しましたとおり(※)、保護者会費の収支のバランスはとれている状態です。
お祭りは「子どもと保護者が一緒に楽しめる企画」として、
今年度バザーは中止するカタチで、出店内容を見直したいと思います。
お祭りやバザーの廃止は運営費にかかわるため、保護者のチェックも厳しくなります。
会費の収支報告や予算案決議の際など「会費の収支バランスはとれるか?」について、事前に丁寧に説明し、質疑応答も受けます。
問題がなければ決議をとり(会場の拍手or挙手)正式に承認を得ます。
このように、総会では「変更点と理由」を丁寧にお伝えすること。
大きな混乱や問題を起こすことなく
役員の仕事・負担を「正式に減らす」ことができます。
▼こちらも合わせてどうぞ。
【まとめ】 じゃんけん・クジ引き無し「話し合いのみ」で役職決定
以上をまとめると、
時代に合わないPTA・役員の仕事を変えるための3ステップは
1.「全体像」を知る
2.問題を解決する「手段」を絞る
3.同意・賛同を得て「制度」を変える
となります。
ちなみに、
このような形で見直しを進め
翌年度の役員決めをした際は、
じゃんけん・クジ引きを一切することなく、役職が決まりました。
もちろん、
会長など上の役職(リーダー的な)ものはなかなか決まりませんでしたが
- 上の役職になっても実務は少ないこと
- 引き継ぎマニュアルもあるので、迷わずできること
- 無理なくできるよう役員の仕事が整理されていること
など、
次の役員さんが「安心してお引き受けできるよう整えてある」ことを丁寧にお話することで、話し合いのみで決まりましたよ。
【最後に】保育園の保護者会 ⇔ 小学校のPTA
ここまで、
「保育園の保護者会」の制度を変えた例をご紹介しつつお話しました。
これが「小学校のPTA」になると、また別の話になってきますよね。
保育園は「働く親同士」という共通点があるので
役員の仕事を減らすことに対して、比較的スムーズに賛同してもらえましたが
小学校のPTAは、学校や自治体、OB・OGなど関わる人が多い分
「しがらみや古い価値観」も大きい。
私自身、保育園だけでなく
「小学校のPTA本部役員」も経験しているので
PTAを変えるのは、また違った大変さ・苦労があることもよくわかります。
→ 今年りあこはW役員です(保育園保護者会会長&PTA執行部会計)
コロナ禍でさえ変わらないPTAを変えるには?
世界を変えたコロナ禍においても
いまだ変わらないPTAも多いと耳にします。
多くの保護者が「PTAはおかしい」と思っているのに、多くの学校で変わらない理由。
それは、
変えるのは、大変なことだから。
現状維持の方が、楽だから。
ここまで読んでいただいて
あなたも気づいたと思いますが
何かを変えるって、ものすごく
時間も手間も労力もかかることなんです。
ましてや、ボランティアのPTA。
何か頑張ってもお金や対価がもらえるわけじゃない。
むしろ、関わるほど自分が大変になるだけ。
それでも自分が動けば変わります。
少しずつですが変わります。
じっさい、一緒に引き受けてくれた
保育園の役員さんたちには、本当に助けられたし気持ちよく動いてくれました。
小学校のPTAも、役員の制度や仕組みは大きく変わり、スリム化しました。
自分1人のチカラで変えることはできません。
それでも、
何かを変えようと動く人のそばには
必ず賛同者・協力者が現れるものです。
それと同時に、前向きに
時代に合ったカタチに変えたくても
「現状維持を求める人」
「変化を嫌う人たち」は必ずいます。
「変えたいけど、自分の負担が増えるのは嫌だ」
「波風立てず、とりあえず1年乗り切れればいい」
という人たちも多い。
PTAを変えようとすると、
多様な価値観、考え方と向き合うことになるのです。
だから、ここまで何度もお伝えしてきたように
自分にできる範囲でやる。
私は、めんどくさがりなので
めんどくさい制度自体が大嫌いなんです。
めんどくさい仕組みは、変えたくて変えたくて仕方ない。
だから自分がやっただけ。
人のためじゃなくて
自分がやりたいからやった。
そもそもPTAの活動自体やりたい人がやればいいと私は思っています。
やりたくない人まで無理やり参加させるカタチは、不満・不幸しか生みませんもの。
少しずつ、より良い形に変わっていくといいですね。
後日談。(PTA改革後の役員決め)
その後、性懲りも無くまたPTA本部役員を引き受けているのですが、
PTAを改革して、強制的な役員選出を無くしたPTAほど、
役員の後任探しに苦労するジレンマと、現実的な解決策を↓にまとめました。